
-
人気モデルと学ぶ歩き方教室~ヒップアップ編~
-
- レクチャー
FUN+WALK編集部がいくその道のプロに聞く調査隊シリーズ。第1回に続き、タレント・中村優さんと共に、400mハードルの陸上選手として活躍し、現在はアスリートへスプリントコーチングを行う秋本真吾さんにレクチャーをしていただきました。第2回は、ウォーキングで期待できるヒップアップレクチャーや、効率のいい長距離ウォーキング方法について聞きました。
FUN+WALK編集部がいくその道のプロに聞く調査隊シリーズ。第1回に続き、タレント・中村優さんと共に、400mハードルの陸上選手として活躍し、現在はアスリートへスプリントコーチングを行う秋本真吾さんにレクチャーをしていただきました。第2回は、ウォーキングで期待できるヒップアップレクチャーや、効率のいい長距離ウォーキング方法について聞きました。
中村優(以下中村):
女性としては、日常の歩きでヒップアップができたら嬉しいです。良い方法はありますか?
秋本真吾さん(以下秋本):
基本編でお話しした、つま先から歩く方法を取り入れるとお尻に力が入って、ヒップアップに繋がります。つま先が地面に設置した時に、お尻を硬くする意識で歩くと良いです。
中村さんには「お尻を硬くする感覚」で通じるけれど、普段の運動体験が少ない方には難しい感覚かもしれません。
中村:
お尻の穴をしめるようにすると、お尻に力が入っている感覚が分かりやすいです。あとは、実際にお尻が硬くなっているか触ってみると良いかも。ちょっと怪しい人になってしまうけれど(笑)。
秋本:
駅やビルでエスカレーターを使わずに、階段を上るのも効果的です。かかとから足を着地させるとどうしてもお尻に力が入らないのですが、階段は自然につま先で上るので良いトレーニングになります。
中村:
秋本さんは運動前後でストレッチ方法を変えているそうですね。ストレッチは反動をつけないほうが良いと言われますが、本当のところはどうなのでしょうか?
秋本:
ストレッチには、反動をつける『動的ストレッチ』と反動をつけない『静的ストレッチ』があります。僕はこの2種類を使い分けたほうが良いと思っています。基本的にスポーツをしている時の体は動的に動くので、運動前は動的ストレッチを、ウォーキングが終わったら静的ストレッチで体のケアをしてください。
僕は、大腰筋・腸腰筋・アキレス腱を伸ばすことを意識して、腿裏とふくらはぎを伸ばす前屈、腸腰筋を伸ばすストレッチ、アキレス腱伸ばしの3種類をやっています。同じ内容で、ウォーキング前は動的ストレッチ、ウォーキング後は静的ストレッチを各10回2セット程度やると良いと思います。
中村:
長距離ウォーキングをする時に必要なことは何でしょうか? さらに、ウォーキングをすることで得られる効果について教えてください。
秋本:
理想的な歩きに必要なのは、姿勢の良さです。長時間上半身を伸ばして歩くために、腹筋と背筋を鍛えると良いです。
中村:
私は筋トレが嫌いなので、長距離を歩くために筋トレをするのは嫌だなと思ってしまいます(笑)。本格的な長距離ウォーキングに取り組む人は筋トレから始めたら良いと思うけれど、私みたいな人はどうしたらいいですか?
秋本:
毎日の歩きを、腹圧を意識するところから始めるのはどうでしょうか。例えば、足が地面に設置した時にお尻が垂れないようにするためには、おへその下の筋肉を鍛えると良いんです。まずは、おへその下に力を入れて歩いてみてください。
また、ウォーキングで体を鍛えたいなら、大股でかかとから接地して大腰筋・腸腰筋を鍛える歩き方があります。ここで注意するのは、骨盤を捻らずまっすぐ前に出すように歩くこと。骨盤を捻って歩くと、体幹が伸びきる前に足が地面から離れてしまうので、筋肉が鍛えられません。また、姿勢が悪くなって上半身が前傾すると大腰筋が伸びないので、この歩き方でも必要なのは、姿勢の良さです。
歳をとって腰が曲がってくるのは、大腰筋が弱くなるからと言われています。大腰筋を鍛えることで姿勢が良くなるし、アンチエイジングにもなります。
中村:
大股歩きは疲れるし、難しいですね。今までの歩き方が体に染み付いているので、かなり意識して歩かないと、いつの間にか元の歩き方に戻ってしまいそうです。
秋本:
ずっと大股で歩くのは難しいので、僕は「あの信号まで大股で歩こう」とか、「この音楽が終わるまで大股で頑張ろう」と決めて、メリハリをつけて歩くようにしています。まずは日常の歩きから取り入れてみてください。
ここまで、効率の良い歩きの基本からウォーキングで得られる効果まで学んできました。最後に、楽しく歩くために心がけていることを、二人に聞きました。
秋本:
僕はずっと速い走りを追求してきたので、歩く時も「いかに効率よく楽に歩くか」を考えるのですが、この歩きを体得するためには技術が必要で、身につけた技術があってこそ僕が思う楽しい歩きに繋がります。
ウォーキングでダイエットをしたいとか体を鍛えたいという人も、がむしゃらに歩けばいいわけではなく、論理的に納得できる技術を体得したうえで正しい努力をすることが大切だと思います。僕にとっては、その正しい努力の方法が今まで伝えてきたことだし、そういう日々の意識付けや鍛錬の結果が出るときに、楽しいと感じます。
中村:
私は歩くことが好きなので、そもそも歩く行為自体が気分が良くなることです。楽しい時って、姿勢も良くなると思いませんか? 私は歩くことが楽しいと思っているので、自然に姿勢も良くなるのかなと思います。
ただ、私とは反対に、歩くことを楽しいと思えない人もいると思うので、気分によって町の音を聞いたり、音楽を聞いたりしながら、自分の性格に合った歩き方をするのが大切だと思います。
●秋本真吾
1982年生まれ、福島県大熊町出身。2012年まで400mハードルの陸上選手として活躍。オリンピック強化指定選手にも選出される。当時、特殊種目200mハードルではアジア最高記録・日本最高記録を樹立した。2016年全日本マスターズ陸上競技選手権において100mで優勝。現在はスプリントコーチとしてプロ野球球団選手、Jリーグクラブ所属選手など多くのスポーツ選手へ走り方指導を展開している。
●中村優
1987年生まれ、奈良県奈良市出身。ミスマガジン2005審査員特別賞を受賞しタレントデビュー。2006年から『王様のブランチ』の「ブランチリポーター」をつとめるなどタレント業を行う。フルマラソン出場22回、60km×2回、82km、100km×2回、全て完走。「笑顔で楽しく走る!無理をしない!」がモットー。
取材・文:石川歩 写真:野呂美帆