滋賀大学経済経営研究所

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滋賀大学放課後あそび場プロジェクト

滋賀大学放課後あそび場プロジェクト

第4回「Sport in Lifeアワード」受賞団体の取組みを紹介!
①取組の経緯

●子どもたちへ「あそび場」を

【背景】
現代においては、社会環境の変化により、子どもの発育発達に重要な役割を果たしてきた「運動あそび」の機会が減少している。その結果、スポーツが「習い事化」しているといった指摘もある。スポーツクラブ等の重要性は明らかである一方で、スポーツを始める経済的・心理的敷居の高さ、運動機会や体力の二極化、早期専門化などの弊害も指摘されている。そのため、スポーツ参加の敷居を下げ、子どもの自発的なスポーツ参加を促すためには、本来スポーツを始める前段階に位置していた運動あそびを自由に行うことができる機会・環境を積極的に提供していくことが重要である。

【理念と目的】
本取組は、子どもの運動発達、そしてより本質的なスポーツ人口の拡大のために、失われた運動あそびの機会を提供することで、子どもの自発的で自然なスポーツへの移行を促すものである。主な目的は以下の3点である。

①子どもが気軽に、自由に運動あそびを行うことができる機会を提供すること

②子どもの今後のスポーツ参加を促すとともに、バランスよく基礎体力や運動能力を向上させる場を提供すること

③大学の持つポテンシャルを活かした定期的・継続的に実施可能なモデルとすることで、全国的な横展開を目指すこと


②事業の概要と特徴

取組の実施方法: 「気軽さ」と「日常性」を重視

【方法】
①大学の運動施設の無料開放
地域の小学生(未就学児含む)を対象に、平日の放課後に月1~2回のペースで大学の運動施設を自由に運動あそびができる場として無料開放している。2024年度の参加者数は右図の通りである(2月現在、延べ参加者数192名)。

②多様な「仕掛け」の提供
基本的に子どもの自発性を尊重し自由に運動あそびを行うが、子どもの運動発達や今後のスポーツ参加を促すため、様々な遊具や場を提供している。
具体的には、鬼あそび、ボールゲーム(野球、サッカー、バドミントンなどのラケットスポーツ、バスケットボールなど)、フライングディスク、うんてい、トランポリン、縄跳び、竹馬など多種多様である。スポーツ動作につながる運動類縁性を考慮した様々な運動ができる場を設けるなど、子どもが自発的に、興味を持ったスポーツに自然と移行できるよう努めている。決められたプログラムを行うのではなく、子どもの自発性・創造性を最大限尊重し、指導者の介入は最小限に抑え、あそび方の工夫などのencourageに努める、そして何より一緒に全力で楽しむことを大切にしている。


③取組によってスポーツ人口の拡大が期待されるポイント

成果および運営のポイント

【成果】
申込者数および参加者数は上図の通りである。天候や時期によってばらつきはあるものの、人数は比較的安定していることから、地域の子どものスポーツ実施者の増加および実施頻度の向上に一定程度寄与したと思われる。また、親や補助の大学生、教職員とも触れ合うなど、多様なカテゴリーに対して運動・スポーツの機会を提供できていると思われる。

【運営のポイントおよび横展開の可能性】
本取組では、子どもの出欠確認や保険加入、指導者・補助者の常駐などの必要な安全面は担保しつつ、参加者にとっては気軽に来て(当日来ても来なくてもよい)、自由にあそんで帰るというように、可能な限り敷居を低くしている。本取組は現在、大学の特別事業として予算を得ており、スポーツ保険への加入も含め参加者の金銭的負担はない。また、大学生もアルバイトとして活動に参加できる仕組みを作っている。取り組みを継続していくにあたり、予算の継続的な確保が課題となる。小・中学校等において運動施設の開放が難しい中、十分な広さかつ多様な運動施設および学生や専門的知見を持つ教員などの人的資源を有する「大学」の持つポテンシャルや果たす役割は大きい。本取組は全国的な横展開を最終的な目的としており、多くの大学で実施可能なモデルとなることを目指す。

滋賀大学経済経営研究所

滋賀県彦根市

公式サイト

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