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eスポーツ×リアルスポーツの掛け合わせで体を動かそう 株式会社YMFG ZONEプラニングの取組

株式会社YMFG ZONEプラニング
地方創生戦略事業部 西田 宗一朗

新しいスポーツの代表格といえるeスポーツ。これをリアルスポーツと掛け合わせることによって、さらに新しいものへと創造する人たちがいます。今回は、まさに「#ネオスポーツ系」の事例として、「バーチャル×リアル親子サッカーイベント」を主催したYMFG ZONEプラニングの西田宗一朗さんに話を伺いました。

加盟団体情報

株式会社YMFG ZONEプラニング

代表取締役社長 藏重 嘉伸

平成27年7月21日

山口県下関市竹崎町四丁目2番36号(山口銀行本店内)

コンサルティング業務を展開し、地域・域内企業の生産性向上に資する総合的な事業活動支援を行う。2021年には、地元のプロサッカーチームと連携し、e スポーツを活用したスポーツと異分野を融合したイベントを開催。ゲームという趣味・嗜好をきっかけにスポーツを行う機会を提供することで、さらなるスポーツ参画人口の拡大を図っている。

貴社では、スポーツの発展に関する取組として、どのようなことを実施されていますか。

弊社は、山口フィナンシャルグループという金融のグループ会社であり、山口県と北九州市、広島県をエリア対象として、地方創生に向けたコンサルティングを行っている会社です。地元のプロサッカーチーム・レノファ山口さんと連携して、スポーツに関わる取組をしてきました。
我々は、昨年度からSport in Lifeプロジェクトに参加。スポーツ実施率が比較的低い女性をターゲットにして、スポーツ参画人口拡大を図るプロジェクトを行いました。そのなかで、レノファ山口の選手たちと触れ合う親子参加型のイベントを開催。スポーツに興味をもってもらうきっかけづくりを目指しました。
ほかにも、地方創生に向けたSDGsや環境保全も行っています。昨年11月には、環境省の中国事務所と弊社、レノファ山口との間で包括連携協定を締結。環境保全に向けた取組をするプラットフォームを形成しました。これまで、社会連携活動はしていましたが、地方でプラットフォームをつくったことはなく、全国でも初の試みです。Jリーグならではの発信力や、スポンサー企業とのつながりを生かして、SDGsに向けて取り組んでいます。

eスポーツとリアルスポーツを組み合わせた「バーチャル×リアル親子サッカーイベント」について、開催経緯や具体的なイベント内容をお聞かせください。

昨年度のSport in Lifeプロジェクトで、引き続き地域金融機関として地域活性化を目指す一方で、コロナで外出ができない日々が続いていました。そんななかで、スポーツ参画人口拡大に向けてどうしたらいいのかと考えたときに、巣籠需要で拡大していたのがゲームでした。外出自粛により、特にすることが思いつかず、スマホゲームや家庭用ゲームで時間を潰す人が増えている。それが、スポーツ実施率の低下につながっているのではないかと感じて調べたところ、全国的にもコロナ禍の外出自粛により、20~40代のゲームのプレイ時間が増加している傾向にあることがわかりました。そこで、eスポーツに目を向け、バーチャルとリアルを融合してみてはどうかと考えたのです。家で運動不足になりがちな人をターゲットにして、ゲームをきっかけにリアルスポーツへの誘導を目指すイベントを検討しようと思い立ちました。
よって、本イベントは、外出自粛から運動不足の20~40代、ゲームユーザーを対象にしたものです。目指したのは、スポーツを実施するきっかけづくりとすそ野の拡大、そして実施の定着化。もともとゲームが趣味の方から、そうではない主婦の方なども含め、継続意欲をもっていただけるようにした取組です。
サッカークラブに通っている子どもたちとその保護者に対して声をかけ、当日は約30組、60名ほどの親子が集まってくれました。具体的なプログラムとしては、eスポーツの体験コーナーや、プロゲーマーとプロサッカー選手がeスポーツで戦うエキシビションマッチ、さらにはサッカー教室と、親対子どものサッカー対決などを実施しました。ねらいは、スポーツ実施者を増やそうとするなかで、まずはeスポーツを通して運動の必要性を実感してもらうことです。ゲームユーザーのなかで、運動の阻害要因は「一緒にやる人がいないこと」でした。そこを、家族と一緒にスポーツを実施してもらうことで埋めていく。現場には、実際にプロスポーツ選手もいたので、参加者の皆さんとプロスポーツチームのつながりをつくって、スポーツが日常になるような環境づくりを目指しました。

サッカー教室の様子

イベントの実施により、e スポーツとリアルスポーツの親和性など、何か成果は得られましたか。

参加されていた保護者は、日頃からスマホでゲームをする人ばかりで、同時に運動不足を実感している方が多くいました。しかし、子どもたちと実際にサッカーで対決してもらったときに、我を忘れて本気になって子どもに体当たりしていたり、子ども以上に盛り上がったりしていて、楽しい場面も多くありました。あらためてスポーツの楽しさを知っていただけたかなと思います。
また、もともとゲームに馴染みのある皆さんだったので、eスポーツ自体にも興味をもって参加いただきました。機材は本格的なものを体験コーナーに設置しましたが、家でできるようなものもあると知っていただけたのは大きかったと思います。アンケートでは、約90%の方々が「今後もスポーツを続けたい」と回答されていたことから、eスポーツとリアルスポーツの親和性は高いといえるでしょう。

サッカー対決の様子

参加された方々からは、どのような声がありましたか。

保護者からは、「日頃の運動不足を感じた」「子どもは普段からスポーツをしているけれど、一緒にやってみると難しくて、子どもが普段していることを知ることができた」「親子のつながりが強くなった」などというコメントが多数ありました。eスポーツを通じてリアルスポーツを行う楽しさや必要性について、多くの方々に実感していただく良いきっかけになったのかなと思います。

イベントの実施により、課題の発見はありましたか。

運営側の検討事項として、場所の確保が難しかったことが挙げられます。ゲームと実際のスポーツを掛け合わせているので、屋外だとゲーム画面が見にくい、音が通らないなどの弊害があります。一方で、リアルスポーツができる広さや環境も必要です。今回のようにドームなど、雨天でも実施できる場所が最適ですが、ドームは体育協会や各スポーツ団体の年間スケジュールが決まっているので、場所確保のために早めに動く必要があると実感しました。
また、参加者のなかから1人子どもがエキシビションマッチに参加するコーナーがあり、かなり盛り上がったので、次からはその枠を増やしたいなと思いました。実際にプロゲーマーとお子さんのチームが、プロサッカー選手2名のチームに勝って喜んでいました。参加者が盛り上がるプログラムは、今後増やしていきたいと思っています。

エキシビションマッチの様子

このプロジェクトを実施した先にどのような未来を想像していますか。また、新たな展開などは検討していますか。

今回は国の予算で実施しましたが、こういった事業に継続的に取り組むなかで、自走化を見据えてマネタイズの方法を模索する必要があると感じています。20~40代だけではなく、高齢者の生きがいづくりなど、ターゲットを広げて事業展開していくことも重要です。我々は、地域の自治体との連携が多いのですが、各地域によって抱えている課題が異なるので、それぞれの課題把握をしながら、スポーツを使ってどんな課題が解決できるか、アプローチエリアを拡大しながら展開していきたいと思います。

ありがとうございます。では最後に、これから「#ネオスポーツ」に挑戦してみようとしている方々に、一言お願いします。

eスポーツのプロゲーマーさんたちは、例えばサッカーであれば、本物のサッカー選手にサッカー自体のスキルを教えてもらうことも必要だと話していました。そういったプロゲーマーの方々にも、日頃から体を動かしてスキルを高めてもらいたいですし、一般のゲーム好きな方々も、今回のようなイベントきっかけで、実際に体を動かしてもらえたらうれしいですね。

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